大統領の執事の涙を観てきた

かなりざっくりしたあらすじですが、アメリカにおける黒人差別とその変化を農園の奴隷育ちからハウスニガー、バーテン、ホワイトハウスの執事にまで出世した一人の黒人男性の生涯を通して描かれています。主演はフォレスト・ウィテカー

実話にインスパイアされたということで、ところどころに実際の映像や写真、新聞が出てくるのですが、本当に恐ろしいもんです。白人が黒人を恐れる理由は、結局彼ら自身が黒人にしてきた仕打ちから報復されるのではないかということだったんでしょうか。

言葉だけでなく身体的な暴力による命の危険すら当たり前のようにまかり通っていた時代。同じアメリカ国民でありながら白人と同じ権利を訴えることに対してさえ許されない時代。

少しずつ少しずつ、その差別が間違っているのだという意識が浸透していく間にとても多くの人の犠牲があったわけですね。差別に対して、それが当たり前の時代に拒絶することの勇気、下手したら殺されてしまうのだからすごいなと思います。闘わずして権利を得ることはできないんだな、と。

しかしこれもまだほんの数十年前のできことなんですよね。数年前アメリカでついに黒人の大統領が誕生しましたが、やはりそれ以前の時代には到底考えられなかったことなんだろうな。

人間の常識というのは怖い。同じ人種の中でも、同じ民族の中でさえ、差別がある。

人類が少しずつ困難を克服しているの確かだと思いますが、自分には差別のない時代なんてものが来るとは到底思えず、ただただ人間という生き物の不完全さを呪いたくなってしまう。

 

あと映画を観て、数十年前の出来事というのはそれほど昔ではないというのを改めて感じました。中韓の人が未だに日本人に対して不信感を持っているのは、もちろん国の教育やメディアの影響も大きいと思いますが、やはりまだそれほど昔の出来事ではないからなのかもしれないな、と思いました。

以上、感想でした。