寄生獣を観てきた

原作は読破しています。自分は終盤の展開が好きです。以下ネタバレ含みます。

注目度も高いせいか映画の感想はすでに他のブログでも多く取り上げられているので今更感は否めませんが・・・

  • 話の構成について

尺の関係上原作のエピソードを分解し、そぎ落とし、再構成しています。そのため展開が急で、細やかな心理描写・心情の変化(特にシンイチの思考が人間的なところからパラサイト化していくところ)がないせいか、やや大味になっている感じ。

あと気になったのは、冒頭、寄生生物が海からやってくるところです。コンテナにへばりついてそれをトラックで運ばれていくんですけど、すぐそばにトラックを誘導する人間がいるのになぜそいつに寄生しようとしないんだ?とか、寄生されるのが沿岸部に集中するんじゃね?とか疑問に思ったり。寄生生物は繁殖能力を持たないのだし。

他にもAがシンイチに止めを刺さない理由がよく分からなかったり(原作だと生き残った父親を探しにいくため、一応は理由があるといえばある)、「地球上の誰かがふと思った~」のくだりを田宮良子にラスト付近で言わせた理由がさっぱり分かりません。完結編での役割に繋げるためかもしれない。田宮良子が作った爆弾も、島田を殺せなかったし、どういう意味があったんだろう?

  • キャスト・演技について

主演の染谷将太の演技がとても良いという評判を目にしていたのですが、何ともいえず。若干滑舌が気になったものの、映画版におけるシンイチのキャラ設定としては良かったのかも。深津絵里以下パラサイト組はちょっと不自然さを押し出しすぎかな~、とも思いましたが、そこまで気にならなかった。ミギーの阿部サダヲも、映画版ミギー(コミカルな感じ。宇田のジョーのキャラが混じってる)には外していないかなと思いました。でも自分は原作のミギーのほうが好きです。

  • 映像について

ミギー含めパラサイト形態の描写はVFXなんですが、個人的にはそこまで凄いかな・・・?という印象を抱いた。もちろん予算とレベルが違うハリウッド映画みたいなのと比べてもしょうがないんだけど。

  • 映画の中での寄生獣のテーマについて

監督が述べているように、映画で寄生獣のテーマは「母性」でした。まあより多くの人の感情に共通して訴えかける題材としてはありなんだと思います。少なくとも幅広い人に映画観に足を運んでくれるためには。実際、自分はシンイチ(美術部所属)が描いた母親の絵を見つめる姿にうるっときました。ただ、シンイチと母親に寄生したAが戦ったときに、まるでパラサイトの中に母親の意思残っていて、シンイチへの攻撃をそらしたかのように見えるのは陳腐というかやりすぎな感じがしました。あとシンイチが自分で母親の首を落とすのとかも、んー・・・。

  • グっときた部分

島田が剥離剤をかけられて暴走し始めてすぐ、漫画では剥離剤を投げる役どころのユウコが真っ二つにされてしまいます。村野が抱きついてる目の前で。あれはトラウマもんやでえ・・・。ここは痺れた。

  • 結論

原作未読であればもっと楽しめたであろうと思います。どうしたって原作ほどの面白さを数時間の映像に詰め込んで表現するのは難しい・・・。